赤頭きんのオオカミはロリコンチキン
「女の子食いてー」
こんにちは。オオカミです。いつもひどい目にあってます。きっと今日もひどい目にあうと思います。だから思い残すことが無いように、自分に正直に生きようと思います。そして、なんと運のいいことでしょう。森の中を一人で歩く女の子を見つけてしまいました。赤い頭巾をかぶっているので、赤頭巾と呼ぶことにして、選択肢は一つしかありません。見送ります。いえ、違うんですよ。作戦ですよ、作戦。こんなもしかしたら猟師が通りかかるかもしれない往来で、女の子襲ったらそれこそお話的にひどい目にあうってわかってますから。決して私がビビってるとか、チキン野郎だからとかそういう理由ではないことを明言しておきます。
作戦を実行に移します。まずはお婆さんの家へ潜入し、安全な狩場を確保しなければなりません。潜入はさして難しくありません。手足に小麦粉をつけて、チョークを食べて声を高くすればきっと入れてくれます。おっとこれは違う話だ。
さて、潜入には成功しました。この婆さん鍵もかけずに熟睡してやがりました。そしてこれからこの婆さんをどうしたらいいでしょうか。原作どおり赤頭巾に干し肉とワインとして食べてもらうという手もありますが、私は紳士ですから自分で片付けることにしましょう。骨と皮ばかりで食べるところ無いのでクローゼットに押し込んでおきました。目を覚まさなかったので大丈夫でしょう。ついでに婆さんに変装もしました。
これで準備完了です。あとは赤頭きんのことを待つばかり。そういえばアメリカのマンガで即座に変装を見抜いて銃撃ってくる赤頭巾がいたな。さすがアメリカやることが違う。バイオレンスはヤですね。怖い。
無理です。よくよく考えたら、オオカミが人間に化けるってどう考えても無理があります。早々に作戦を変更、いや、戦略的撤退を。
「こんにちは、お婆様」
脱出失敗。こうなったら作戦通り進めるしかありません。
「こんにちは。遅かったねえ」
「少し寄り道をしてしまったの。おそくなってごめんなさい」
とりあえずいきなり銃殺のシナリオは回避したようです。
「あら? お婆様の耳はそんなに大きかったかしら」
「こ、これはあなたの声がよく聞こえるように大きくなったのよ」
この質問にたどり着けば勝ったも同然です。ここまでくれば確実にいただけます。
「お婆様のお口はどうしてそんなに大きいの?」
「それはね、おまえを食べるためさ!」
我ながらたいした迫力です。これならば赤頭巾もすくんで動けません
あとは赤頭巾をおいしくいただいて、猟師が来る前に退散すれば大勝利です。
気絶されてしまいました。抵抗されないのは好都合ですが、無抵抗というのは考えていませんでした。さてどうしましょう。ここは原作どおり、食べるのに邪魔な赤頭巾の服を一枚ずつ暖炉に放りこんで、それからイタダキマスするのがいいでしょう。
他意はありませんよ。他意は。
「お前、そこで何をしている」
猟師襲来。少女の服に手をかけるオオカミ。確実にアウトの画です。何か言い訳をしなければ。何か言い訳を!
「お、女の子が食いたかったんです」
私は自分に正直にと決めていました。きっとひどい目にあいますが、後悔はしていません。